真夏の危険地帯10

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「じゃ、いっそ「GENKI」に戻ればいいじゃん」
 優作が簡単そうに言った。
「そうだ。そろそろ戻れよ、元気」
 唐突に上から低い声が降ってきて、三人が振り仰ぐと、大柄な男が突っ立って一般人らしからぬオーラを無駄に放っていた。
 黒ずくめだがタンクトップに上着を着ているだけ、一平にしてはマシというところか。
「一平? 本人? びっくりした」
 優作が言った。
「誰だ?」
 元気の左怒鳴りに腰を降ろした一平が元気に尋ねた。
「同期の毛利と江川だろうが。それにお前、何回か会ってるだろ、ライブも来てくれてたし」
「物覚えが悪いからな」
 早速やってきてオーダーを取るウエイターの声がひっくり返りそうになっている。
「それより、お前、葛城にいい加減なこと言ってんなよ」
 早速元気は切り出した。
「いい加減なことなんか言ってない」
「言っただろ、俺がお前の何とかかんとか」
「あいつがお前を妙な目で見てたから、釘を刺しただけだ」
「ったく」
 これだからと元気は頭を抱えそうになる。
「俺を変な目でみるヤローなんか、そうそういるかよ!」
「それはお前、認識不足だぞ」
 意外にも一平に加勢した将清を元気は振り返った。
「学生ん時も、強面の一平の傍にいたから誰も手を出せなかっただけだろ。現に去年の夏だって赤坂プロの社長に目つけられてたじゃないか」
「あんなアホヤローなんか問題外だ!」
「それより葛城って? 葛城智治のことか? 野球部の」
「知ってるのか? 弁護士で、最近「GENKI」の事務所に入ったって」
 将清は頷いた。
「あいつ、大学野球で一年の時から剛腕投手で活躍してて、結構スカウトの連中が来てたんだが、三年の時肩壊してさ」
「そういやしっかりした体格してたよな。けど、弁護士に転向ってすごいな」
 素直に感心する元気の肩にがしっと一平が腕を回す。


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