真夏の危険地帯13

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 午後の客が一段落ついたところで、元気は紀子と自分のために、アイスコーヒーを入れた。
「紀ちゃん、一休みしよう」
 この町は盆地なので、東京のような酷暑ではないものの、日中はそれなりに気温が上がり、ここ数日は猛暑が続いている。
 だが、やはりあのビルが林立する街中の熱気が淀んだ暑さと、自然の風が通り抜ける空気では質が違うと元気はあらためて思う。
「また、雷、鳴ってんな、一雨くるかな」
 元気は窓の外に目をやりながら、呟くように言った。
 こうしていると昨夜のことも何だか夢の中のできごとのような気がしてくる。
 やっぱり俺の居場所はここだよな。
「何、紀ちゃん、何か今日、えらく静か過ぎないか?」
 ふと気になっていたことを口にする。
 今日は団体客がどっときたりで忙しかったせいかと思ったが、そういえばいつものおしゃべりがない。
「別に」
 そう言いながらも紀子は元気を斜に睨むように見る。
「別に、って、何かあるって顔に書いてあるぞ。どうした? ははあ、さては克典とまた喧嘩でもしたんだろ」
 喉が渇いていてアイスコーヒーをあっという間に空けてしまった元気はカウンター越しに紀子を見つめた。
「そんなんじゃないわよ」
 確かに言葉が固い。
「元気、昨日はどこ行ってたの?」
「昨日? だから将清たちと会うって言っただろ?」
 優作が見せてくれた携帯の動画を思い出して、どうやら紀子が既に元気が何をしていたか知っているような気はしていた。
 昔の元気を知っている連中なら、やはりあのギターが元気だとわかるのだ。


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