真夏の危険地帯14

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「あたしに隠す必要ないじゃない!」
 その台詞にできれば気づかないでほしいという元気の密かな願いは呆気なく崩れた。
「ネットでライブ見て、すぐに優花に確かめたんだから」
「悪かったよ。とにかくあれは、浅野が、って、事務所の社長だけど、元気だってばれないようにすればいいからちょっとだけでも出てくれって強引に……まさか、動画アップされるなんて思わないだろ」
 これは思った以上に紀子の機嫌を損ねたらしいと理解して、元気はこの上なく神妙な顔になる。
「「GENKI」はそこんとこ緩いって言われてるのよ。あたしだって元気が出るんならライブ、行きたかった!」
 グスっと今度は泣きが入り始めた紀子に、元気は慌てた。
「悪い、ほんと、ごめん、黙ってたことは謝るし、それにあんなのちょっと二、三曲やっただけだし……」
「何言ってんのよ、ネット、大騒ぎになってるわよ! マスコミもすごいライブだったって、あのギタリストは一体誰だって」
「え………ウソ…だろ?」
 その時、元気は嫌な予感に襲われた。
 まるでその予感が当たったかのように、やがて店の電話が鳴った。
「はい、伽藍でございます。あ、お疲れさま。うん、いるよ、今なら平気」
 紀子はそう電話の相手に告げると、「はい、元気」と受話器を差し出した。
「え……」
 嫌な予感はあたったようだ。
「はい……ああ、お前か。仕事は順調か?」
 とりあえず、何事もなかったかのように、元気は言った。
 すると電話の向こうで豪がしばし黙りこくった。
「豪?」
「仕事はあと二日で終わる。終わったらすぐに戻るから、ちゃんと説明しろよな」
 受話器越しにも怒気が伝わってくる気がする。
「説明ってなんの?」
 そんな風に言われると、元気の方もカチンとくる。


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