真夏の危険地帯27

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 店内には観光客らしい年配の女性が二組ほど。
 こそこそ話す二人の会話を聞こうとするものはないが、みっちゃんはさらに声を抑えて続ける。
「去年のバカ坂プロのこともあるし、そっちからお前の正体がバレたりしないように、きっちり手は打ったから安心しろ」
「手を打ったってどうやって?」
 いくらみっちゃんでもどこぞのフィクサーでもあるまいし、マスコミを抑えられるほどの力があるはずがない。
「そりゃ、持つべきものは人脈ってやつ。鈴木弁護士事務所」
「一平の親ンとこ?」
「前の事務所を辞めるときも、お蔭サマサマだったけど、鈴木事務所の真理子弁護士のクライアントに、業界を牛耳っているとかいう大手事務所のドンがいて、真理子弁護士はそのドンに大きな貸しを持っているらしく」
「何か、きったねぇ話だろ」
「きれいごとばっかじゃこの業界渡っていけないっての。とか言っても、別に法律に反するようなことじゃない。要は真理子弁護士がかなり信頼されているってだけ。だから、ちょっとGコーポレーションの社員のことで困ってるってそのドンの前で呟いてもらったら、何もお願いしたわけでもないけど、情報が抑えられたと」
 この際一つでも杞憂の原因がなくなるのなら、元気も深くは聞かないことにした。
「しっかしなぁ、俺が目測を誤ったっつのは、やっぱな」
 うーん、とみっちゃんは言葉を切った。
「何だよ」
「独立した時点からでも、お前のルックスと一平のカリスマ性で新たに売り出してれば、人気も今の倍増だったなと。どっちかってと、ブスッ面の一平メインにするよか、あんなマスクで隠してたって、アイドルとか吹っ飛ぶくらいメディア受けバッチシだし、今朝の見たか? お前、ほんとテレビ映りのいいこと」


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