真夏の危険地帯30

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 部活以外でもバンドを率いてちょこちょこライブなどをやりその外見と相まって小さな街のことだ、校内外に名前が知られていた元気だが、元気の性格上、籍を置くとすればやりたいから活動していたのである。
 今思うとよくそんなあちこちよくやっていたよなと、若さゆえの自分に呆れるのだが。
「今日は登校日かなんか? まだ夏休みだよな?」
 カフェオレとモカが入ったカップをテーブルに置きながら、元気は尋ねた。
「今日は秋に出す『久遠』の編集会議です」
 少し頬を赤らめながら少女は答えた。
「へえ、だって君ら三年だろ? 夏期講習とか忙しいんじゃないの?」
「でも『久遠』は今年で百号の記念号だから気合入ってて、私らも顔出してきたんです。すごいですよね、ほぼ年一回か二回発行だからもうずっと脈々と続いてるってことで。元気さんの随筆もちゃんと三回載ってましたよ」
 今度は元気の方が顔が赤くなりそうだった。
「いや、随筆なんてもんやないし、俺の文なんか読まなくてもいいって」
「でも、華ちゃん、いくら歴史があるっつーたって、『久遠』とか、ダッサぁ。もっと今にあったタイトルにしたっていんじゃね?」
「ダメだよ、サムちゃん、歴代OBが許すはずないじゃん」
 茶色がかった髪といい、ピアスといい、このサムちゃんなるちょっと軽そうなチャラ男くんが華ちゃんの彼氏だというのが、傍から見ると意外な組み合わせなのだ。
 サムちゃんの言うところによると、元々はご近所の幼馴染で、色々な女子とつきあったもののやっぱり華ちゃんが好きだと告ったのが、この春のことらしい。
 二人は一年の時から文芸部員で、夏休み前に引退するまでは華ちゃんが部長でサムちゃんが副部長。
 華ちゃんの志望校が東京にある難関の医学部であるため、サムちゃんも東京の有名私大を受けるという。
 二人が末永く続けばいいけどね。
 可愛いカップルだと応援しつつも、ついそんなオヤジフィルターで見てしまう自分を、元気は嗤う。


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