真夏の危険地帯35

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「まあ、聞けよ。GENKIの根幹はお前への一平の賛歌にあるんだ。まあ、お前がちょっと離れようが一平がお前を渇望する限り、GENKIは存続する。豪には悪いが、一平がお前を思わなくなったらGENKIは終わり、つまりGENKIは一平と元気の危うい均衡のもとに成り立っている」
 みっちゃんは言葉を切って、冷酒を一口飲んだ。
「まあ、仮にもし一平と元気がくっついていたとしてもおそらくGENKIはそれなりにやって行けてたと思うが、どっちかっていうと逃げる元気を追いかけている時の一平の方が、パワーがあるのさ。報われない方が渇望の度合いも大きいし」
 しかしな、とみっちゃんは続けた。
「たまに一平が元気にありつけるとなれば、一平のパワーは倍増するんだけどさ、ほら、ネコを遊ばせるときみたいに、たまにキャッチさせてやらないと興味をなくすだろ? つまり全然、報われないってことになると、一平は仕事だろうが放りだしかねない」
「みっちゃんって鬼畜なことよく平然と言えるよな」
 呆れて、元気はようやくそう口にした。
「けど、元気だってわかってたはずだろ? そもそもGENKIは一平がお前のために作ったんだ。一平のお前に対する情熱がGENKIの動力源そのものだった。一平が追いつくか追いつかないかってところでお前を追いかけてるっていうデンジャラスゾーンにある情熱から生まれる音楽こそにみんなが引き寄せられてるわけで、もし、一平が元気を追いかけなくなったら、その時はGENKIも終わりってこと」
 断言するように、みっちゃんは言い切った。
「一平が俺じゃない誰かを渇望するようになれば、その相手に情熱を向ければ済むことだろう」
「その時はもうGENKIは成り立たない。そうなってみないとわからないが、仮に俺らの音楽活動が続くとしても、それはもうGENKIじゃない別物だろう」
「それはそれでいいものが生まれるかもしれないじゃないか」
「ま、な。ともあれ、お前がどこにいようと、誰とくっついていようと、GENKIはお前なしには存在し得ないってことさ」
「だからって、今の俺にはどうしようもないし……」
「今の、ってことは、昔ならどうかしようもあったってことか?」
 元気の言葉にすかさずみっちゃんは聞き返した。


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