真夏の危険地帯4

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 とはいえもともと女に優しい元気のこと、裏でみっちゃんが糸を引いているだろうことはわかっていたが、その夜、二人が泊まっているホテルAに出向いた。
「ライブ? 悪いが俺は……」
「元気だってわからなければいいでしょ? マスクとかで顔を見せないようにしてていい。それにフル出演じゃなくていいの、アンコールだけ。ここのところマンネリ気味になっているライブに対するテコ入れの意味もあるし、ファンに対してもね、サプライズってことで」
 案の定、七月のライブに出てほしいという面倒な話だった。
 ライブに出るつもりはない、と続けようとした元気の言葉を遮るように、涼子は矢継ぎ早に続けた。
「元気もギターが好きなんだし、たまにはいいじゃない? 気分転換にもなって。あ、そうそう、葛城くんはバイとかゲイとかそういう差別嫌いで、ゲイの友達もいるっていう人だし、信用のおける人だから大丈夫よ」
 「GENKI」のオリジナルメンバーで今はペンネーム「G」で曲を提供してくれている我が社の嘱託社員かつ株主、ただし社外秘、涼子は葛城に元気のことをそう簡潔に紹介した。
 学生の頃からメンバーは涼子に頭が上がらなかった。
 「GENKI」の発足は高校時代からバンドをやってきた一平が元気を巻き込んで、なおかつ元気からバンド名を取って始めたK大の学生バンドだ。
 ボーカルの鈴木一平、ギターの岡本元気、ベースの古田光彦がオリジナルメンバーで、そこへドラムスの木田雅人が加わり、マイナーで既にかなりの人気を得ていた。
 人気が出たのは半分は一平や元気の素人離れしたルックスにあるだろうが、半分は古いといわれようがダサいといわれようが、その実力と音重視の骨太メタルを頑固に貫く一貫した音楽性に共感した一途なファンのお蔭だろう。
 当時から彼らの音楽が好きでビラまきからスタジオの手配など協力してくれていたのが涼子だ。
 女としての武器を最大限に利用して面倒なオーナーを言いくるめるかと思えば、理路整然とした理屈で言い負かしたりと、はっきり言って頭が切れる上に度胸が据わった姉御肌で、みっちゃん即ち光彦とは高校時代からの腐れ縁らしく、くっついたり離れたりしていたが、最近は長く続いているようだ。


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