真夏の危険地帯40

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 風呂から上がると、元気は冷蔵庫を開けてポカリスエットを取り出し、半分ほどを飲み乾した。
 髪をタオルで擦りながらポカリスエットのボトルを持って元気は自分の部屋へと階段を昇る。
 開いた窓から流れてくる風が髪を揺らして通り抜ける。
 さらさらと流れるのは風ばかりではない。
 こうしているうちにも静かにさりげなく時間が流れていく。
 こっちに戻ってきて既に五年が経とうとしている。
 何もかもが同じところにはいない。
 何か、どこかしらは変わっていく。
 ポカリスエットを飲み乾そうと口に持って行ったところで、ジャカジャカと携帯が鳴った。
 もうすぐ午前零時になろうとしている。
 相手はわかっていた。
 勝手にGENKIの曲を、元気のギターのところだけ着メロに設定していった男からだ。
「なんだ」
 つい声が不機嫌になる。
「……あんま、時差ないから、まだ起きてるかと思って」
「お前、GENKIの事務所に寄ったんだってな」
「……みっちゃんに聞いたんだな」
「わざわざこっちまで出向いてな」
 しばしの沈黙があった。
「わかってる! あの人、みっちゃん、俺をあんたから引き離そうとしてんだ!」
 元気は思わず携帯を遠ざける。
「でかい声出すな! バカ」
「あんたがライブに出るの俺が邪魔すると思ってるんだ! 俺はそんなこと考えちゃいない! 俺は、ただ…!」
「くだらないこと考えてないでもう寝ろよ!」
「眠れない……、なあ、元気もこっちこないか?」
「アホか、飲んでるな」
 どうやら結構飲んでいるらしいのは、ちょっと呂律がおかしいことでわかる。
「そら飲んでますよ。明日からまだ三日も残ってる……あーあ、何で元気、ここにいないんだよぉ」
「いい加減にしろ、切るぞ」


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