真夏の危険地帯44

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「器材だって運べるし、手荷物より楽だろ? な、元気!」
「きゃあ、何着て行こう! 髪、カットしなきゃ」
 元気の意思とは関係なく、勝手にことが進んでいく。
「いいなー、お前ら、呑気に旅行か」
 すっかり乗り遅れた東がボソッと言った。
「何よ、東も一緒に行く?」
「俺は教室あるから、ダメ」
 すっかり紀子はその気になっている。
 みっちゃんの話を思いだして、元気は正直あまり喜べない。
 この間のライブはこっそり行きたかったので、新幹線で横浜に向かったのだが、車なら確かに器材もいくつか載せていける。
 前回はストラトひとつだけ抱えてったが、二本は持って、レスポールも積んで……
 つい、頭の中でそんなことを考えている自分に気づいて、元気は、クソ、と思う。
「車出すってお前、仕事は?」
 最近、豪が中古で購入したBMWのSUV車はゆったり大きくて、器材も悠々載せられるし乗り心地もいい。
「ちょうど東京だし、一日早めに行けばいい。紀ちゃんも俺んちに泊まればいいよ、元気も」
「え、やだ、あたしは大丈夫! ホテル取るから! そんなお邪魔したくないもん!」
 途端、ちょっと顔を赤らめたのは東だ。
「バカ、ひとりでホテルなんか泊められるか。俺もホテルを取るから、紀ちゃんの部屋も俺が取るよ。こないだのお詫びに」
「え、そんなあ……元気ってば、太っ腹! じゃ、豪もホテル泊まればいいよね」
 紀子の発言にまたしても東が一人で反応する。
「じゃあ、早速、俺、ホテル見繕って予約入れとくわ」
「え、おい、豪」
 これはもう、何が何でも一緒に行くという意思表示だ。
 豪はバックパックをひょいと肩にかけると、スタスタと店のドアをくぐる。


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