真夏の危険地帯45

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「あ、元気、今夜、路傍、な」
 豪が振り返ってドアから顔を覗かせた。
「あ、ああ」
 何だか否応なく、という感じだ。
 路傍でちょっと食べて飲み、そこから歩いて豪の家に向かう、といういつものパターンだろう。
 まあ、喜んでいるのは豪だけではない、のだが。
「んじゃ、俺、帰るわ」
「おう、これから教室か?」
「そ、貧乏暇なし」
 チャリンと東が小銭を出した時、また、豪が舞い戻った。
「あのさ、元気、うちの親に、元気のこと紹介するって言ったから」
 一瞬、こいつ何を言っているんだ、と元気は意味を把握しかねた。
「何?」
「俺だって家族に紹介くらいできる。じゃあ、そういうことで」
 スタスタと出て行く後ろ姿に、最初に反応したのは紀子だ。
「うっわー、何、元気、いよいよ? おとうさんおかあさん、この人が俺の……」
「バッカ、ダチだって紹介くらいする……」
 あのバカ、みっちゃんから、何を聞いたんだ?
「いや、しかし、ダチだったら、わざわざ宣言してかないだろ?」
 帰りそびれた東が口を挟む。
「うっわ! いよいよ! うっわ!」
 千葉行きと豪の妙な宣言のせいで、ひとり有頂天になっている紀子を元気は眉を顰めながら見つめた。
 何やら波乱含みの夏の伽藍は、まさしく台風にでも巻き込まれそうな様子を呈していた。

おわり


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