真夏の危険地帯6

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 さらに、ああ見えて一平は周りを気にしないから空気は読まないが正義感は強いし、何よりバンドとしての音楽を非常に大切にしている上、何かあったらまずみっちゃん、という不文律が一平の中ではきっちり成り立っていた。
 一平のその一言で、「GENKI」は独立へと密かに動き始めた。
「いいか、一平は金持ちの家で贅沢三昧で育ったから何も考えないかもしれないし、半分はお前の人気でもっているってこともわかってはいるが、他のメンバーは事務所からお前のバックバンド扱いされていることやギャラがお前とは桁でもって違うことに不満を持っている」
 みっちゃんはここぞとばかり、幼稚園児に噛んで含めるようにとくとくと状況を言い聞かせた。
「んなもん、すぐに辞めるぞ!」
 と言い出すことはみっちゃんとしてもわかっていたから、今まで一平には何も言わなかった。
「ことはそう簡単にはいかない。こっちが優位になるように立ち回らないと」
 事務所側が一平を甘く見ていたこともあるが、一平の親が放任主義だということに高をくくり、落ちこぼれ息子が一躍有名になるのが嬉しくないはずはないと思い込んでいたのも彼らの敗因だった。
 双方とも名の知れた敏腕弁護士である一平の両親は、有楽町に大きな法律事務所を構え、鈴木家は兄、姉ともに弁護士というエリート一家である。
 そんな一家に育った一平だが、親は確かに放任主義で子供にエリート教育をするでもなく、兄も姉も自分で勉強して弁護士になったし、一平が何をしようと他人に危害を加えたり、犯罪を犯したりしない限り、成績が悪かろうが好き勝手にやらせていた上に、兄弟で比べたりするようなこともなかった。
 だから、一平がみっちゃんを連れて両親の事務所を訪れ、現在の事務所の彼らへの対応や考え方の相違から、事務所から独立したいことを相談すると、きっちり仕事として請け負ってくれた。
 事務所としては独立は寝耳に水だったらしく、表面上は円満に独立させたことになってはいるが実際のところすんなり解決したはずもなく、鈴木法律事務所の介入があってこそ今、彼らの自由があるのだ。
 というわけで、「GENKI」は株式会社Gコーポレーションを立ち上げ、涼子を取締役に据えて、新たな船出へと舵を切った。


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