そばにいたい1

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顔を上げると、空の青さが半端なく明るくて、成瀬佑人は思わず息をとめた。
低くうねるような雲がことさら夏を主張している。
それでもそこここの木立の群が少しばかりキャンパスの暑さを和らげてくれるようだ。
佑人がベンチに腰を降ろした途端、ポケットで携帯が鳴った。
「……五時に、南口? うん、わかった」
電話の向こうから山本力の低い声が、じゃ、あとでな、と言った。
今日は高校からの仲間といつもの居酒屋で集まることになっている。
力と会うのもちょっと久しぶりだ。
嫌でも毎日顔を合わせていた去年までと比べれば、だが。
獣医学部に進学した力は、電車で三十分ほどの大学に通っている。
「よっ、待った?」
背後からやってきた長身のシルエットが佑人の隣に座った。
「いや、今来たとこ。五時に南口だって、力から」
「あのやろ、今日はもう終わったのかよ。せっかく佑人と二人で茶でもしてって思ってたのに」
長い脚を組む坂本龍成は、学部は違うが同じ高校からこの大学に進学した友人で、大切な仲間の一人である。
ボーダーのサマーニットにデニムのパンツ、レザーシューズ、さりげない着こなしがさまになっていて、ほのかなフレグランスが大人びている。
その上サラリと揺れる栗色の髪や端正な面立ちに眼鏡と、最近、アルバイトで知り合いのアパレルメーカーのモデルをしているという坂本は、さらに人目を引いていた。
「今日、甲本もくるって」
「んだと? あんにゃろ、また勝手に仲間入りしゃがって」
世間からは三流と目される都立南澤高校から天下のT大に坂本と佑人の二人も進学しただけでもあり得ないことだったのに、おまけでバカ大と称される大学であれその医学部にまぐれで受かってしまったのがこの甲本達樹だ。


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