そばにいたい20

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 やがて富士見台を告げるアナウンスがあり、ドアが開くと、坂本は甲本に「じゃな」と声をかけて佑人と力に続いて電車を降りる。
「あ、俺も。今日はうち帰るし」
 甲本も坂本に続いて降りた。
「なら、もう一軒寄ってかね?」
 坂本の提案に甲本が「だな」と答える。
「佑人、力、俺らここで」
「またな」
「うん、じゃあ、また」
 佑人は振り返って坂本と甲本にそう返事をしたが、力はちょっと顔を向けただけだった。
 部屋に帰ると早速待ち構えていたタローに力はリードをつける。
「ちょっと俺、酔ったみたいで」
 ソファに腰を降ろしてそう言った佑人に、力は冷蔵庫からポカリスエットのハーフボトルを持ってきて差し出した。
「大丈夫か?」
「ありがとう。これ飲めば、平気」
 タローと一緒に力が外へ飛び出して行くと、佑人はポカリスエットを三分の一ほど飲み、背もたれに身体を預けてふうっと大きく息を吐いた。
 こんな時、どうしても兄の郁磨と比べてしまうのだが、郁磨は酒に関してはざるで顔色も変わらないのに、佑人は嫌いではないものの量飲めないようだ。
 母の美月が酒豪なのに対して、父の一馬はやはりある程度飲むと寝てしまうから、佑人は一馬のDNAを受け継いだらしい。
 それでも気分がいい時や楽しい酒なら悪酔いはしないが、その場の雰囲気でこんな風になることがある。
 いつまでも気にしている自分が悪いと思うのだが、内田が現れたことや、美月や昔のことを持ち出されたのが原因だろう。
 そんなことを考えていると自己嫌悪にさいなまれるのだが、せっかく力とゆっくり会える時間だというのに、早く嫌な気分から抜け出したいと、佑人はまた少しポカリスエットを飲んだ。


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