そばにいたい3

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 最初、そんな金はないと東山や啓太は主張したのだが、「親に借りといてバイトして返せよ。免許あった方がバイトの幅も広がるぜ」と力に言いくるめられて、今は東山は宅配便、啓太はコンビニとみんな何らかのバイトに精を出している。
 佑人も五月から中学生の家庭教師を始めた。
「そういえばこないだ、啓太に友達紹介された。同じアニメが好きですんげぇ気が合うんだって」
 佑人は啓太の口調をそのまま口にする。
「は、あいつ御茶ノ水だっけ、学校」
「そう。何か楽しそうだった」
 何かというと力か東山か佑人に泣きついてくる末っ子体質の啓太だが、同じ趣味の友達ができて生き生きしていたな、と佑人は笑みを浮かべる。
「あ、やべ、忘れてた、本」
 急に坂本が立ち止まる。
「頼んでた本、ちょっくら購買行ってくるわ。たったか戻るから、ここで待ってて」
「いいよ、慌てなくて」
 脚の長さをフルに活用して坂本は走っていく。
 入学した当初から、坂本は何かにつけて佑人を放っておかない。
 過保護過ぎると思うのだが、同じ高校から来たの佑人だけだし、一人だと心細くて、などと坂本は言うのだ。
 坂本のキャラならそんなはずもなく、現に二人で歩いているとあちらこちらから声をかけられる。
 心細かったのは俺の方。
 わかってはいたけど、ああ、力は傍にいないんだ、と改めて思い知らされた。
 中学で四面楚歌状態になって以来、佑人は一人で何でもやってこれたはずだった。
 高校でも力や今の仲間たちとこんなに親密になるなんて思いもよらなかった。
 坂本がいなかったら、おそらく佑人はまた一人でいたはずだ。
 力や仲間じゃなければ、一人の方がいい。
 でもなまじっか力という存在を知ってしまってからは、会えないでいるのがたまらなくてついメールを確認するために携帯を見てしまう。
 少し遅れると力にメールすると、店に直接来い、と返ってきた。


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