そばにいたい7

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 坂本はすぐ気づいて後ろを振り返った。
「まあた、お前のこと書いてあるわけじゃなし、こんなの気にすんなよ」
「ああ」
 佑人は曖昧は返事をした。
 だが、自分が気になるというよりも、自分がしでかしたことでまた母の美月に迷惑が及ぶのではということが心配だった。
 最近マスコミがこぞって取り上げているのは有名女優の息子が覚せい剤所持で逮捕されたという話題である。
 テレビを見なくてもネットでもその話題や手の付けられないドラ息子だったという本人に対する悪口雑言、引いてはそんな息子に育てた母親としてその女優までが誹謗中傷を受けている。
 確かにある程度は真実もあるかも知れないが、そのほとんどが外野が勝手に想像を膨らませた不確実な情報だったりするのだ。
 リポーターや記者たちに問い詰められて目頭を熱くしている女優の画像に、佑人はかつての美月の姿をだぶらせていた。
 人気女優であればあるほど、周りはまるで鬼の首でも取ったような勢いで襲い掛かる。
 俳優や女優などを生業とするものの性で、仕方がないことなのかも知れないが、それにしてもネット社会の攻撃的なやり方は目に余るものがある。
「関係ないだろうに、同じ女優の子供が何かしたってだけで、大昔の事件を引き合いに出して視聴率を稼ごうとか、ああゆう低俗さにはほんと嫌気さすって」
 坂本は佑人が感じていることを察して、吐き出すように言った。
「まあ、でもさ、お前の件は、騒ぎが収まりかけの頃にはほら、お前が女の子助けようとしてやったってことで、好意的な意見も結構あったみたいじゃん」
「それでも母は有名人だからさ、何も考えずに行動しちゃいけないってことは身に染みてわかったし」
「そうかあ?」
 坂本が覗き込む。
「え、ああ、そういや、坂本や力に迷惑かけたこともあったかも知れないけどね」
 そういえばと、佑人は高校時代つい突っ走ってしまったことを思い出す。
「いや、だぁからさ、違うっつうの、俺らに迷惑かけた、じゃなくて、一人で動かずに一言声かけてねってこと」


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