桜の頃 2

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 よく晴れて、温かい。
 三月に入ったばかりだというのに、今年はもう桜の蕾が膨らみ始めたと朝のニュースでやっていた。
 確かに今年は暖冬で、京都でも冬らしい日が少ない。
 卒業式、花見ができるんちゃうか、などとクラスで笑っていたが、さすがにそれは無理なようだ。
「おう、千雪、早いやん」
「そういうお前もえらく早いで、三田村」
 玄関で出くわしたのは元生徒会長の三田村だ。
 三田村も千雪と同じで関東移住組だ。東京の有名私大に進学が決まっている。
「生徒会で何か追い出しみたいなことやってくれるらしんや。式の前に生徒会室寄らんと。剣道部もやろ?」
「いや、うちの部はもう昨日のうちに簡単な挨拶とかすませたし」
「ああ、答辞読むから練習?」
「そんなもん、わざわざ練習するか。研二と一緒に写真撮ろう思て」
「何? 二人だけで? ずるいやん、俺も混ぜや」
 文武両方に優れ、容姿もいけているという三田村は在学中とにかくもてた。何より弁がたつ。
 千雪をからかうのに命をかけていたような男だ。
「何がずるい。勝手に撮ったらええやん。江美ちゃんきたら言っといて、菊ちゃんと裏のグラウンドの桜の木のとこにいるて」
 三田村と研二とは一年、二年と同じクラスだったが、三年になって別れた。
 三田村と江美子、菊子と研二は同じクラスだが、千雪はクラスが違う。
「ほな、あとでな」
「おう」
 幾分、神経が高揚しているのだろうか、千雪は何かに追い立てられるように研二を探していた。
 今、研二を探さなくてはならないような、何だか得体の知れないものが千雪の心の中で渦巻いている。
 それが何なのかわからない歯がゆさが、千雪はたまらなかった。
 スニーカーに履き替え、ちゃんと履ききらないうちに、千雪は走り出した。?


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