桜の頃 4

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「あんまし、仏頂面すんなや」
「無理に笑ろたらおかしぃやろ」
「ああ、もう、ええわ、撮るで………よっしゃ!」
 今度は研二にカメラを渡し、千雪が桜の木の下に立つ。
「せえけど、記念写真て、普通、卒業証書持ったりして撮るもんやないか?」
「ええの。式終わったあとなんて、とてもこんな悠長に写真撮っとる余裕ないと思うで」
 交代で写真を撮ってから、二人で撮る方法はないかと探して、うまい具合に桜の木の後ろの金網にカメラを設置し、タイマーで写真を撮る。
「三田村も撮りたい言うてたのに、けえへんな。江美ちゃんや菊ちゃんも、連れてきてくれて頼んだのに、時間のうなってしまうわ」
 カメラを金網から取り外し、腕時計を見るともうここで写真を撮る時間はないだろうと思われた。
「しゃあない、行こか」
「うん」
 研二に促されて、千雪はのろのろと歩き出す。
「なあ、研二、金沢なんて、一人で大丈夫なん?」
「それはお前やろ。一人で暮らすて? 親戚の伯父さんとこ行ったらええやろ」
 研二が本当に心配そうに言った。
「そんなん、ほんまの一人暮らしやないやろ」
「けどなあ…」
「そんなこと言うんなら、何で研二、一緒に東京の大学行く言うてたのに、金沢なんかにしてん。しかも、ぎりぎりまで俺に隠しとった!」
「せやから……」
 研二は言葉に詰まる。


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