桜の頃 5

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「俺の力やとスレスレのラインやったし。そんなん、お前に言うの恥ずかしいやろ」
「お前が恥ずかしいなんて考えると思うか?」
 千雪が断言すると研二は笑う。
「とにかくや、ほんまに心配なんや、いろいろ。それにお前、一人にしとくと突っ走るやっちゃしな」
「余計な心配、せんかてええ! 俺も考えて、秘策があんねん」
「秘策?」
「まあ見ててみ」
 いたずらっぽく笑う千雪を研二は優しい目で見つめる。
「そや、お前、答辞、読むんやなかったか? 原稿は?」
「答辞は読むけど、原稿なんかないし」
「原稿がない?! どないするんや」
「せやから、原稿は書かんでも、頭の中にちゃんと書いたるよって」
「ほんま、大丈夫なんか?」
 まだ心配そうな顔をする研二に、千雪は言った。
「そうや、お前、第二ボタン、気ぃつけとかんと、あっという間に取られるで」
「第二ボタン?」
 ぴんとこないようすの研二に、千雪は「せやから、記念に第二ボタンください、いう、あれや」と説明する。
「ああ、俺にはそんな心配いらん」
「あほやな、お前に憧れとおる女子結構おるねんで? お前が睨むからよう近づかんだけで」
「ほな、よう近づかんやろ」
「甘いわ。今日が最後やし、そういう時の女の子を甘くみたらあかん」
「身をもって体験しとるしな、お前。お前のおっかけ、すごかったもんな~、特に女学院の」
「今日でそんな心配もしまいや」
「そやな」
 歩きながら、二人はふとどちらも黙り込む。
 と、いきなり、研二が学生服からボタンを引きちぎった。


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