桜の頃 7

Home ◆ 京助x千雪Top ◆ back ◆ next


 

 卒業式は厳粛なうちに、滞りなく行われた。
 中でも、原稿もないのに、よどみない調子で、答辞を読んだ千雪の姿はどこまでも美しく、凛と
して気高くさえあり、後々まで語られるものとなった。

「やってくれたな、千雪」
 式が終わると早速三田村がやってきて千雪の肩に腕を回す。
「感動の嵐やったで、お前の答辞」
「おおげさや。それより、今朝、写真撮るいうたのに何で来ぃへんかった?」
 眉を顰めて千雪は三田村を睨む。
「生徒会室で結構時間押してしもて、慌ててグラウンドまで走ったんやけど、何や、義経弁慶が仲
ようやっとるのんをみて、こら、お邪魔さんやなと引き返してん」
「何がお邪魔や」
 そう、何か、言うことがある気がしていた。
 研二に、何か。
「ええー、記念写真を撮るから、各クラスに別れて、庭に出るように」
 教師が声を上げて指示をしている。
 俄かに出てきた南風が、卒業生たちの間をぬって吹き抜ける。
「よう、研二」
 研二が振り返ると、三田村が近づいてくる。
「おう。あとで、千雪のうち、集まるて、聞いたか?」
「聞いた。なあ、研二」
 三田村はちょっと声のトーンを落とす。
「何や?」
「ええんか? お前」
「何がや」
「千雪を一人で行かせて、ええんか言うてるの」
 三田村の目を見て、研二は険しい表情を返す。
「千雪は子供やない。ええ加減、過保護なダチはいらんやろ」
「俺はお前のことを心配してんね」
「俺がどないしたて?」


Home ◆ 京助x千雪Top ◆ back ◆ next


にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ

ようこそ、お立ち寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です。