小草生月某日-11

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押しつけがましく突きつけてくる女の子や千雪の通学路に待ち伏せされてチョコレートを無理やり渡されたりで、しかもチョコレートと一緒に渡された手紙の返事をくれと迫られて、申し訳ない、その気はないといえば、その場で泣かれたりと、とにかく冗談じゃなかった。
それに、研二とてもてない男ではなかったから、チョコレートを渡されて邪険にもできず、困った顔で黙って受け取っている姿が何やら微笑ましくもあり、千雪も苦笑して見ていたのを思い出した。
やっぱあの頃はよかったな……バレンタインはご免やけど……
「何罰当たりなこと言うてはるんですの? また俺のこと置いてはるし」
 ウザい男が今日も千雪を見つけて目の前に座った。
「お前と約束した記憶はあれへん」
「またそんな水臭い、ほんで、夕べは真っ赤なバラとハート弁当のジュンさんと、うまくいきましたん?」
 興味津々という顔で身を乗り出してくる佐久間を、千雪はジロリと睨み付ける。
 やから何でそないなるんや! ほんまに京助といい、三田村といい、人をからこうて面白がりよってからに!
 花には罪はないとはいえ、あんなものを部屋に持って帰って京助が見つけよったら、三田村の思惑通り、またあいつらに面白おかしくいがみ合うネタを与えてしまうことになりかねないと、貰ったもので申し訳はないと多少後ろめたくはあったものの、コンビニに持って行って、おちゃらけたメッセージカードを引っぺがして、小夜子宛てに送ってしまった。
 しかしあんなものを抱えてコンビニまで行く道々、またもや好奇の目にさらされたことを思い出すと、忙しさで忘れていた怒りがまた蘇り、千雪はついつい佐久間にまた剣呑な視線を向ける。
「な、そんな怖い顔して何ですの? 俺、何もしてまへんで?」


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