かぜをいたみ 15

Novel ◆ 京助x千雪Top ◆ back ◆ next

——————————————————————————–
 工藤は嘉人のドキュメンタリー番組のロケに同行し、オスロから帰ってきたばかりらしく、疲れているようだった。
工藤はかがんで何かを拾い、しばらくそれを見ていたが、やがてぱたんと閉じると、上着のポケットに仕舞い、ふんと鼻で笑って煙草を噛んだ。
「広瀬良太。去年入ったウチの唯一の新人。お前の後輩だ」
 やがて千雪を見つけると、工藤は良太を紹介した。
「後輩ですか? 俺、この人の?」
 良太が納得いかないという顔で工藤に尋ねる。
「うちの野球部エースを知らなくてはモグリやからな。よろしく小林です」
 千雪は微笑んだ。
「こ、光栄です。先輩ってホントに? でも俺、一浪してるから、二十五ですよ」
「俺の講義取ってくれてたんですよね?」
 良太はマジマジと千雪を見つめる。
「ハ……ハアアア?…」
「まだわからねーのか? 小林千雪大先生じゃねーか。あくまでも社外秘だ。心しとけよ」
 工藤が口を挟む。
「ウッソォ…」
 良太は目を丸くして千雪を見つめる。
「でも、大学にいる時とは別人…」
「あんまり美人だから、しょっちゅう襲われそうになるのよ。だから変装してるの、小林先生は」
 割って入ったアスカが代わりに答える。
「適当なこと言いな。別に深い意味はあれへんね」
 アスカの勝手な説明を引き取って、千雪は注釈をつけた。
「何が社外秘だ、その大先生をいいようにしてんのは、あんたなんだろう?」
 明らかに険を含んだ目付きを工藤に向けたのは大澤流だ。
「残念ながらここんとこ先生はつれねぇからな。俺の方はいつでもOKなんだぞ?」
 また工藤が思わせぶりなことを言う。
「工藤さんの相手には役不足違う?」
 千雪は笑ってそう返した。
「だめよ、センセはあたしのものなの! 工藤さんのお相手なんて両手にも余るくせに」
 千雪の腕をとってアスカが主張する。
「例の有閑マダムはどうしたよ? ちょっとしたラブアフェアには事欠かないくせに」
 俊一が口を挟む。
「でも本命はそう簡単に落ちないから価値があるのよね」
 今度は万里子までがからかう。

——————————————————————————–
Novel ◆ 京助x千雪Top ◆ back ◆ next


にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ

ようこそ、お立ち寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です。