かぜをいたみ 18

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 よもやということも考えないではなかった。
 普段失念していることもあるが、アスカはアイドルタレントなのだ。
 今では若手人気女優ベストテン内に常にランクされるほどの。
 迂闊だったというしかない。
 工藤にも申し訳がないと思う。
 千雪が連絡を取る前に、工藤から電話が入った。
「週刊誌の件、申し訳ありませんでした。俺の不注意です」
 開口一番、千雪は謝った。
『全くだ!』
 相当怒っている。
『もしバレたらどうするつもりだったんだ! バカヤロ!!』
「はあ、ほんまにすみません、彼女にも謝っておいてください」
『アスカなら、むしろ話題性で却って好都合だが。講英社の幹部にも厳重にいっといたが。俺の目の黒いうちに二度とやったら、ただじゃおかねーってな』
「はあ」
『問題はお前の正体だ。明日記者会見で、アスカに適当にいなさせるが、妙にあの写真のお前に興味持つやつらがうろついている。気をつけろよ』
 翌日盛大にフラッシュがたかれる中、たくさんのカメラの前で、アスカは言った。
「彼、パリのボーイフレンドなんです。初めて日本にきてくれて、久しぶりに再会して」
 アスカは悪怯れもせず、シナリオどおりに言葉をつなぐ。
「ウーン……今は、とても大切な存在って言うか……もし、結婚という形にはならなかったとしても、ずっと大事な存在でいると思います」
 この台詞はシナリオにはなかった言葉だったが、後で聞かされて、千雪はアスカにばかり嫌な思いをさせて悪かった、と思う。
 自分がもう少ししっかり意識していればこんなことにはならなかったはずだ。
「何、何、実はそーゆーことかい?」
 流がピュッと口笛を吹く。
「あんな週刊誌なんか気にせず、ママもパパもいつでもまたゆっくり遊びにいらっしゃいって言ってるのに、あれからちっともうち来てくんないし」
 アスカは悪びれもせず、そんなことを言う。
「子供やないんやから」
 千雪は溜め息をつく。
「両親公認ってわけ?」
 俊一がニヤつく。
「なんならいっそのこと記者会見でもやっちまえばいい」
 周りも面白がって一緒に騒ぎだす。

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