かぜをいたみ 27

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「マスコミにしばらく忘れられてたからな? ここんとこ。そろそろネタを提供する頃だと思ってたぜ。理香とじゃ当たり前すぎるしな」
「美咲里乃って言うと、最近売れてる女優でっか?」
 寡黙な研二が口を聞いた。
 研二が口を挟むのはよほどのことだ。
 口調は穏やかでも、さすがの京助もその裏にある意味を解して一瞬口を噤む。
「ウチ関係のパーティだと、いろいろ気をつかわなけりゃならねんだよ。あの女に会ったのはそん時だけだ」
「一度きりのラブアフェアってヤツ?」
 誠も茶化す。
「ざけんじゃねーっ!」
 カッときた京助が怒鳴る。
「もう、うるさいな、何でシルビつれてんね?」
 さりげに話をすり替えたのは千雪である。
 シルビは千雪の傍に擦り寄って甘えている。
「散歩の途中、バカな自転車がぶつかってきやがって、病院つれてったんだよ、コイツ」
「えっ、怪我したんか?」
 驚いて千雪はシルビの身体を触る。
 だが、シルビは撫でてもらうのが嬉しいらしく逆に千雪に身体を摺り寄せるだけである。
「ちょっとした打撲ですんだ。あのヤロー」
「あのヤローて、自転車の方はどないやってんや? コイツにぶつかったんやったら、向こうも怪我したんやないか?」
「あのヤローが悪いんだよ! 自業自得だ」
「自業自得て、まさか、放ってきたんやないやろ?」
 千雪の目もきつくなる。
「真顔で聞きやがって。きさまが俺をどう思っとんのか、よーくわかったぜ」
 工藤がクックッと笑う。
「真実ついとるってとこだろーが」
 そんな台詞が飛びかう横で、酔っ払ったアスカがケラケラと笑いながら、シルビと戯れている。
 シルビを呼ぼうと左腕を挙げた千雪に、すぐ傍にいた研二が言った。
「その腕どないしてんや?」
 えっと千雪は振り返り、そのまま自分の左手首の下に目をやってから慌てて降ろした。
「ちょっと転んでん……」
「転んでそんな傷ができるか?」
 険しくなる研二の口調。
 そこにいきなり別の腕が伸びてきて、シャツの袖をぐっと上げた。
「何だ? これは」
 一層強い声で京助が問いただす。

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