かぜをいたみ 28

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 確かに、どう見ても刃物で切った痕だ。
「い……たい! 離せよ!」
 ようやくその腕を離して京助が再び尋ねた。
「何だって聞いてんだ! てめー、昨夜、どこで何してた? 都内にいなかったのは先刻承知だ! とっとと吐け!」
「吐け……て……人を容疑者扱いしよって」
 口でブツブツ言う千雪におかまいなく、工藤がそれに答えた。
「栃木まで容疑者と追っ掛けっこしてたらしいぜ。夜中じゅう」
「何だと? てめー、また、いらんことに首を突っ込みやがって!!」
 京助の怒りが益々増長したらしいことは、そのトーンが低くなったことでわかる。
「いらんことって、俺は……」
 言い訳しようとする千雪の言葉を遮って京助は怒鳴る。
「帰るぞ! さっさとしろ!」
 その傲慢な態度にカチンときた千雪だが、それ以上京助を怒らせてもロクなことはないのはよくわかっている。
「さっさと帰り。その傷、はよう手当てしてもらえ」
 研二が言った。
「もう渇いてるて……それより研二、アシないねんやろ?」
「誠もいてるし。もうちょっと飲んでくわ」
 それは研二の優しさだとよくわかっている。
「おう、久しぶりにトコトン飲むか? ってことで、工藤さん、車頼んまっせ。千雪、お前もバイク置いてくんやろ?」
 誠に言われて、千雪も仕方なく頷く。
「ほな、工藤さん、今夜はこれで……。お騒がせしました」
「グズグズすんな!!」
 工藤に頭を下げる千雪を京助が急かす。
「んな、デカい声で怒鳴らんでもわかるわ」
 ブツクサ言い返しながら、京助に続いて千雪、その後から大きなハスキーが出て行った。

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