かぜをいたみ 4

Novel ◆ 京助x千雪Top ◆ back ◆ next

——————————————————————————–
 唐突に静寂を破ったのは、バッバーッとクラクション。
 少し離れて停まっていた車のヘッドライトが点いた。
 皆がそっちを振り返ると、中から降りた男が足早に近づいて来る。
「終わったんだろ? 帰るぞ」 
 なんと京助である。
 千雪は驚いた。
「京助、どないしたんや? こないなとこで」
「どないもこないもわざわざ迎えに来てやったんだ、有り難く思え」
「押しつけがましく現れやがって。これから六本木だ。生憎だったな」
 工藤が口を挟む。
「ほう? んじゃごゆっくりな。千雪、帰るぞ!」
 京助はあくまでもにこりともせず、千雪を促す。
「きさまも仲間に入りたいんならそう言やいいじゃねーか」
 工藤がニヤニヤ笑う。
「誰が言うか」
 京助は工藤をひと睨みする。
「京助さん、一緒に行きましょうよ、お久しぶりです」
 一触即発の雰囲気を呈してきた二人の間に割り込んだのは浩美だった。
「お前もいたのか。まさかこのためにパリから来たわけじゃないよな?」
「そんなもんですけどね」
「ほな、工藤さんら、俺の車で行きますか」
 研二は工藤と浩美を自分の車に誘った。
 匠はさっさと研二の車のサイドシートに座る。
 工藤は浩美とその後ろに乗り込むと、携帯で会社を呼び出した。
「ああ、良太、今日はこのまま六本木に向う。迎えはいい。もうあがっていいぞ」
「それじゃ、工藤さん、行き先、ナビしてください」
 工藤が携帯をしまうと、運転席から研二は促し、ハンドルをきった。
「研二くん、千雪のダチは三田村や誠は知ってるが、お前さんは初めてだったな?」
 浩美が最近の日本の様子を聞きたがり、匠がそれに答えていたが、その合間に工藤が口を挟む。
 工藤は運転している研二をじっと観察していた。
「ええ、最近東京に出て来たばかりですよって」
 静かだがひどく存在感がある男だと工藤の目に映った。

「忙しんやろ? わざわざ来えへんでもええのに」
 車内の重苦しい空気に、ナビシートの千雪が口を開いた。
「迎えにこれねーほど、忙しくしちゃいねんだよ」
 京助はそんな千雪の言葉がよそよそしくさえ思えてしまう。
 京助が機嫌が悪いのは千雪にも十二分にわかる。
 何となく言葉が途絶えたまま、黒のフェラーリは前を走るランドクルーザーについていった。

——————————————————————————–
Novel ◆ 京助x千雪Top ◆ back ◆ next


にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ

ようこそ、お立ち寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です。