かぜをいたみ 6

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 キレる寸前の千雪の態度に皆がちょっと驚いている。
「ほお? 結構生意気な口聞くじゃねーか、このガキ!」
 流も黙ってはいない。
「つまらんケンカ、買うんやない」
 また言い返そうとした千雪を制した重く凄みの効いた声。
皆はその声の主を見やった。
 研二は表情も変えずに静かに飲んでいる。
「何だあ!? このにーちゃんよぉ!!」
 流は矛先を研二に向けるが、逆にジロリと研二に睨まれ、思わずたじろいだ。
「お前と遊ぶ暇はねえんだ、坊や、今夜は。またにしろ」
 工藤はニヤリと笑う。
「All right! こえーニーチャンだぜ」
流はわざとらしく肩をすくめてみせて退散した。
「一緒に騒いだらええやんか」
 千雪は面白くないのを顕わにして、グラスをあける。
「あんなガキ相手に何突っ掛かってるんだ」
 そういう京助の方が穏やかに見えるのが、工藤は面白い。
「そうかて! 腹立つやんか!」
「自分の力も考えんと、すぐケンカ買うからあかんのんや、お前は」
 今度はまた研二に諌められる。
「悪かったやんか、力のうて」
「わかっとんなら、つまらんことに首突っ込むんやない」
 いちいち研二の言葉は重みと威厳がある。
 口数が少ないだけ要点をついている。
 成程、と工藤は納得する。
 どうやらこの研二という男、なかなかの逸材のようじゃないか。
 しかし京助と研二の間は一体どうなっているのだ?
 京助は相変わらず不機嫌そうな顔をしている。
 だがいつもの京助なら、千雪に対して他の男にそんな偉そうな口を聞かせているはずがないのだ。

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