花を追い3

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 今日はランチを兼たその打ち合わせで十一時半過ぎの予定である。
「じゃ、俺、行ってきます」
「行ってらっしゃい、気をつけてね」
 良太はバッグにタブレットを放り込み、キーを掴んでオフィスを出た。
 首都高に乗ってしばし走ると、中央道に入る。
 二月に車検がすんだ今年七年目のジャガーは社長の工藤の車だが、最近はほぼ良太専用車となっている。
 大学進学が決まった春に免許は取ったものの、四年の時、父親が保証人倒れで一家離散の憂き目に合い、中古だが当時持っていた愛車は即手放さざるを得ず、自分の車は未だに持っていない良太だが、仕事でこれだけ運転していれば、自分の車を持ちたいなどと思うこともない。
 むしろ、工藤は自由に使えと言ってくれているのだが、休みにまであえて車を使いたいとも思わないし、その必要性もあまりない。
 だが元来運転が嫌いではないから、今日のように快晴な日は、遠出のドライブも気分転換にはなるというものだ。
 澄み切った空の青さとは真逆に良太の頭の中は色々なモヤモヤで霞がかかっている状況だった。
 厄介ごとは一つ終わったかと思うとまたどこかから別のものが湧いて出る。
 まあ、厄介ごとと片付けるにははばかられるかもしれないが、一つはリトルリーグからのライバルにして悪友、関西タイガースの沢村を起用したCMの企画が大手アパレルメーカーから浮上したことだ。
 しかもどうやら当初英報堂に話が行ったはずが、何と打診された沢村がプラグインでならとか何とか言ったために、コンペになったのだという。
 しかもである。あろうことか、
「マネジメントを俺に依頼したいとかぬかしやがって!」
 とついつい運転しながら声を大にしたいことになったのである。
「そんなこと、お前の弁護士に頼めよ!」
 と携帯で怒鳴りつけた良太に、
「あの人は弁護士で、業界には疎い」
 とか、またぬかした沢村のその弁護士が会社にやってきて、正式に依頼をしていった。


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