花を追い4

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 たまたま会社にいて、てっきりそんなものお断りするだろうと思っていた工藤が何と快諾したから、また工藤と良太の間でもひと悶着あったのはいうまでもない。
「大体坂口さんのドラマだって、NBCの創設六十周年記念番組で、制作はNBCと青山プロダクションになってんのに、ほぼこっちに丸投げって何だよ! まあ、政策会議で坂口さんと工藤が並んで睨みをきかせてたら、NBCの制作プロデューサーもオマカセしますって言いたくなるのもわからないでもないけどさっ!」
 それだけならまだしもなのだ。
「工藤が忙しいのはわかるけど、それで俺にほぼ丸投げって何だよっ!」
 どうやら大物脚本家と言われ、気難しいので知られる坂口陽介に良太は気に入られたらしく、何かというと良太の携帯に電話をしてくる。
 工藤への繋ぎならいいのだが、直接良太にあれやれこれやれと言いたいことだけ言って切ってしまう。
 しかもだ、そのことを工藤に文句を言うと、プロデューサーとして良太の名前入れておこうなどと言い出すしまつで、あっちでもこっちでも振り回されている良太としては、肉体的にもだが精神的に疲れるわけだ。
 その工藤は今夜、CF撮りのためにニュージーランドに発つため、夕方ドラマ撮影が終わる頃スタジオから羽田まで良太が送っていくことになっている。
 NBCドラマのスポンサーCMであるこの仕事は英報堂が工藤を名指ししてきたもので、主演の宇都宮を起用したSUV車のCMだ。
 スポンサーはフジタ自動車とあって、社長に気に入られている工藤が呼ばれたらしい。
 弁当とか出ていても食事をちゃんととらないことが多い人なので、工藤に電話をして食事をとっていないようならサンドイッチでも買っていくつもりでいる。
 やがて国立付中インターチェンジの出口が見えてきて、高速を降りると八王子へと日野バイパスを走らせる。
 案外あっという間のドライブで、ここにきて工藤はまた忙しさマックスなのに、とちょっと引っ掛かりがあるのだが、大学が見えてきたので良太はこもごもの文句や不満を取りあえず棚に上げて、駐車場に車を停めた。


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