このオヤジはよ~(Buon Viaggio!)11

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 八時に予約をしていたホテルのレストランに約10分遅れで二人はやってきた。
 工藤は良太の体を気遣い、キャンセルするか、と提案したが、良太は真っ赤になってガンとして行くと言い張った。
 実際、工藤に起こされる6時半まで再びぐっすり眠った良太だが、体はだるくて頭が覚めていない。
 スーツを着るのがちょっとわずらわしい。

 食事は美味しかったが、お二人にマダム・ベルディ様からです、とワインが届けられた時は、二人とも手が止まった。
「誰だって?」
「マダム・ベルディです。こちらにカードもございます」
 工藤は渡されたカードを開くと、ちっと舌打ちする。
 『お二人の甘い夜のために』などと日本語で書かれたカードにはルクレツィアのサインがある。
「ふざけやがって」
「誰からなんですか? それ」
 ポケットにねじ込むのを見た良太はすかさず問い詰める。
「ルクレツィアだ。…ったく」
 見せるまでは、という良太の視線に、仕方なく渡す。
「何、これ」
 見るなり、良太の頬に赤みがさす。
「からかってんだよ。俺たちを」
 届けられたワインはやや甘口ながら、結構美味かった。
「だからお前がいちいち妬かなくてもいいんだぞ?」
 工藤はニヤニヤ笑う。
「ちぇ、しょってんだから」
 まだ熱の引かない良太には、そんな工藤のセリフが甘いワインよりさらに甘く響くのだから始末におえない。
 クサってるぜ~、俺…
 
 
 


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