このオヤジはよ~(Buon Viaggio!)9

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 全く。
 バスルームに消えた良太の背中に目をやって、工藤はふっと笑みをもらす。
 とんだお騒がせ女だ、ルクレツィア。
 あんなところに現れやがって。
 放送局に務める人気キャスターで結構な才女だ。
 あれもわざとだ。
 俺が誰と一緒か探りにきたのだ。
 相手が男だといって、彼女の目はごまかせない。
 割り切って遊べる女なのだが、どうやら俺が一人に絞ったのが気に食わないらしい。
  根掘り葉掘り聞いた挙句、Buon viaggio!  とそれでもようやく開放してくれた。
 ホテルに戻って、良太がベッドで大の字になっているのを見て、ほっとしたものだ。
 また、家出でもされたらたまったものではない。
 カタン、とバスルームで音がした。
 それから、しん、と静まり返っている。
 作りかけの企画書のファイルを閉じると、工藤は立ち上がり、バスルームのドアを開けた。
「良太、どうかしたか?」
 いきなりドアを開けられて、良太は慌てて洗面台の湯を出すとバシャッと顔を洗う。
「何でもないです」
 泣き顔を見られたのが恥ずかしくて、良太はタオルでごしごし顔をこすりながら工藤の横を通り抜ける。
 寝室のベッドにふてくされて座ると、まだボトルに残っていたスパークリングワインをゴクゴクと飲む。
「ったく、男がいちいちめそめそするな」
「…っせーや…! こちとらあんたみたいにニンピニンじゃないんだ」
 傍に立った工藤の言葉にカチンときた良太は開き直る。
「どうせ俺なんか…っ!」


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