花の宴 1

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『前線の影響で、関東全域では明日は朝から雨、一日中断続的に降り続き、桜にとってはどうやら「花散らしの雨」となりそうです』
 FM局のキャスターが告げる予報に、MBCテレビから外堀通りへと車を走らせる良太は、あ~あ、と口にする。
「どうした?」
 後部座席で電話を終えた工藤が良太に聞いた。
「えー、だって、せっかくの花が散っちゃいますよ、きっと」
「それが自然の生業だ」
 にべもなく返されて、「ちぇ、情緒もヘッタクレもないんだから」と良太はボソッと呟く。
「何だと?」
「いや、別に。やっぱお花見、今夜決行で正解だなー」
 ちょうど工藤の携帯が鳴ったのでこれ幸いと良太はハンドルを切る。
 言いだしっぺはアスカだ。
「ねえ、お花見するんなら今夜!」
 珍しく午前中に顔を見せたアスカは、以前からお花見お花見と騒いでいた。
「人気女優が公衆の面前で、醜態をさらすなよ」
 雑誌の撮影に同行するカメラマンの俊一がバッサリアスカの言葉を斬ってすてる。
「うるさい! ここでやるの!」
「ここ?」
 良太はなるほどー、と裏側の窓から外を見る。
 このビルには、建設当時、工藤のご意見番平造がぜひにと主張して造られたちょっとした裏庭がある。
 そこに植えられた数本の桜の木が年々なかなかの花を咲かせるようになってきたのだ。
 今年は結構華やかに目を楽しませてくれている。


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