みんな、はっぴぃ!12

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  ACT 4
 
 
「さあ、着きましたよ。車を入れてくるから、コースケちゃん、お二人を先にご案内して」
「わかりましたー」
 浩輔は小林と良太を連れてエントランスに入り、管理人室横にあるボードに暗証番号を入れる。
「はい、あ、どうぞ」
 浩輔が名乗る前に、相手が画面で確認したらしく、すぐ、ドアが開いた。
 エレベーターが十階に着くと、「すげーな。河崎さんとこもすごかったけど」と良太が感慨深げだ。
「下界と隔絶された空間やなー」
 小林も頷く。
 ドアの前でインターホーンを押すと、やがてドアが開いた。
「いらっしゃい! どうぞ、お入りください」
 悦子がドアを開けてくれた。
 一緒に駆け寄ってきたのは、元気なボーダーコリーだ。
 しきりに尻尾を振って、来客を歓迎しているようだ。
「かわええなー、名前、何?」
「あ、アイちゃんです」
「犬、好きなんですか?」
 藤堂が戻ってきて、いつの間にかしゃがみこんで、アイちゃんとじゃれている小林に声をかけた。
「可愛いコですね。犬もネコも好きですよ。京助とこにもハスキーがいてるんやけど、ほんまは、俺が知り合いからもろたコやってんですわ。前のアパート、ペット飼えへんかったから、京助に預かってもろて、そのままなんですけど」
 ようやく立ち上がり、小林がそういって微笑む。
 笑うと、氷の美貌が和らいでいいじゃないか。
 藤堂はこそっと思う。
 アイちゃんはすっかり小林が気に入ったようで、付き従うように歩く。
 と、コートを脱いでいた小林の足が止まる。
「あれ、この絵………」
 壁にかけてあるのは、悠がアイちゃんを描いた二〇号だ。
「アイちゃんです。なかなか可愛く描けているでしょ?」
 自慢げに藤堂が説明する。
「そうか、このコ、どこかで見たことがある思たら…」
「あ、コート、こちらにかけておきますね」
 藤堂は小林からコートを受け取り、玄関横に備え付けられているクローゼットのドアを開ける。
「この絵、確かギャラリー『銀河』で個展やってた方の作品やないですか?」
 ちょっと驚いたが、すぐ藤堂はにっこりして、「ギャラリーいらしてくださったんですか? 実は私、あのギャラリーのプロデュースもやってるんですよ」
「え、そうなんですか? 従姉と観に行かせてもろたんです。あそこの社長さん、従姉の知り合いやったので、案内状もろたて。ほんで俺は良太に案内状もろてたから」
「おや、そうでしたか。まだ学生ですが、なかなか将来が愉しみなアーティストでしょう?」
「ええ、従姉も、なんか随分あの薔薇の絵が気に入って、つい先日、社長さんに譲ってもろた言うてました」
 意外な展開に、藤堂は小林を見つめる。


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