みんな、はっぴぃ!13

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「というと、もしや、従姉さんというのは、綾小路さん? てことは、日本橋の呉服問屋『日本屋』さんの?」
 美保子から薔薇の絵を譲ったとは聞いていたが、その相手の名前までは注意していなかった。
「そうです。従姉が京助のお兄さんと結婚したので」
 藤堂はようやく合点がいった。
 それこそ、どこかで見たことがある美人だと、小林を見て思っていたのだが、彼の従姉だという綾小路小夜子、旧姓原小夜子は、『日本屋』の役員として実家を切り回す傍ら、日本有数のコングロマリット、東洋グループ次期総帥のファーストレディとして、その美貌と知性で、財界ではよく知られた人材だ。
「なるほどねー、財界の大物どうしのお付き合いってことか。美保子さんと、綾小路小夜子さん」
 小林はちょっと首を傾げる。
「社長さんに『日本屋』をひいきにしてもろてるってだけやないですか? でも、絵は従姉が気に入って買うたんですけど」
「あの絵、女の子にえらく人気があったんですよ」
 うんうん、と藤堂は悠の絵を気に入ってもらえたことがとにかく嬉しい。
「藤堂さん、料理きてるんだけど、あの食器棚の中の皿、みんな使っていいのか?」
 悠がやってきて、聞いた。
「どれでも使っていいよ」
「わかった」
 いいながら、悠は怪訝そうに小林を見る。
「あ、そうだ、悠ちゃん、こちらは小林さん。この方の従姉さんが、君の薔薇の絵を買ってくださったそうだ」
「…へえ……」
 悠は無愛想に返事をする。
「確か、あの個展の作者の、五十嵐いがらし悠、さん?」
 小林の問いかけに悠は返事もせず、ぷいと中に入ってしまった。
「今、ここで一緒に暮らしてるんですよ。中にも彼の絵がたくさんありますから、ゆっくりご覧になったらいかがですか?」
「あ、ええ」
 小林はマフラーだけ手に持って、藤堂に続く。
「今日は彼の友人のアーティストたちがきて飾りつけをやってくれたんですよ。わくわくするなー」
 リビングに入るとすぐ、天井に届かんばかりの大きなもみの木が、色とりどりの電飾やクリスマス飾りで燦然と輝いている。
 その天辺では銀製の大きな星が見下ろしている。
 壁、窓、床、リビング全体が蝋燭やテディベアやサンタクロースや、犬やらネコやらを形作った置物やらのクリスマスアイテムや小物類を使い、ちょっといたずらじみた楽しげな空間にと変貌していた。
「おお、ワンダフルなクリスマスだ!」
 藤堂が声を上げる。


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