みんな、はっぴぃ!5

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「フン、ハル、これだけは言っとく。藤堂はさ、お前のこと苦学生と思って、今はボランティアで面倒見てくれてるのかもしれないぞ。足長おじさんが誰とでもくっつくとは限らないんだ。『ライラック』の社長の息子だろ? チョコレートの『ライラック』っていや、幼稚園のガキからバーさんまで、二月のバレンタインには『ライラック』のチョコをめがけて走るってな名門だあな。こんなマンションどーんと買えるような世界の人間なんだ。そうゆうとこの人間なんか、そのうち、ホレ、政略結婚とか、しなきゃなんねーんじゃねー?」
 高津に一気に捲し立てられ、悠はうっと言葉に詰まる。
 藤堂は三十を超えている。
 当然、そういう話があってもおかしくはない。
「俺だって、面倒みてもらってるばっかじゃねーよ! バイトもやってるし」
 藤堂はバイトなんかやらなくてもいいと言うが、悠にしてみればそんなヒモのように暮らすことはもちろんできないわけで。
 体力に見合わないガテンバイトは減らして、今度は宅急便のバイトでもしようと思っている。
 それに、学生のうちはそれで勘弁してもらうとしても、卒業したあとのこともまだ決まっていない。
 就職活動なんてまったくしていないし、会社組織に入って仕事をするようなタイプではないことは自分がよくわかっている。
 教職も取ってみた。
 学生とは結構うまくやったつもりだが、どうも教員たちの評価はイマイチだったようだ。
 かといって、今更大学に残るというわけにもいかないだろう。
 第一、飯倉とはやはり一緒にやっていけそうにない。
 それに、仮に残ったところでバイトは必須だ。
「わかったって、そんな深刻に考えるこたあないって、ハル。そんなこともあるかも、ってことだ。それに、ホレ、ちょっとしたヤキモチくらいなら、かえって男は喜ぶかもよ? あ、いや、まあ、お前も男だけどヨ」
 高津は当初の問題に立ち返って、今度は慌てて悠をとりなそうとする。
 いつまでも続くなんて思ってはいない。
 だから、リュック一つで、いつでも部屋を出て行く覚悟はある。
 悠は思う。
 幸せはいつか消えるもの。
 そんな言葉が、祖父母が相次いで亡くなってから頭の隅から離れない。
 けれど、幸せな思いは消えることはない。
 心の中にずっと住み続ける。
 藤堂との日々もいずれ、そんな思い出の一つになるのかもしれない。
 ま、そん時はそん時だろ。
「くだくだ言ってね~で、早いとこ片付けちまおうぜ、高津。時間なくなっちまう」
「お、おう。んじゃ、俺、このサンタとか天使とか飾っちゃうね」
 急に張り切りだした悠に怪訝そうな返事をしつつ、高津はクリスマスアイテムを箱から取り出し、部屋の装飾にとりかかった。
 


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