好きなのに 123

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 相変わらず愛想のない顔だ。
「それで武藤先生、何て?」
 佐々木は友香に尋ねた。
「まあ、これからだな、だって」
「それだけ?」
「うん、武藤先生、昔っから口数少ないもん」
「にしたって、もっと言いようってもんがあるやろ」
「佐々木さんはこの中でどの絵が一番好きなんだ?」
 急に二人の会話に沢村が割り込んだ。
「え、ああ、せやな、あのアンダルシアの街を見下ろしたやつ?」
「ふうん」
 沢村は紅茶を半分ほど飲んでから、また席を立って佐々木が好きだという絵の前へ歩いていった。
「でも、野球知らない周ちゃんと沢村さん、って、面白い組み合わせ」
 友香は苦労のないことを言う。
「ああ、仕事でね」
 確かに一緒に仕事をしたが、そもそもの出会いなど、話せるものではない。
「そっか、周ちゃんのお仕事っていろんな人に会うもんねぇ」
「な、それより、大丈夫なん? ここ結構高いやろ?」
「うん、プラスマイナスゼロって感じだけど、大丈夫。今、家にいるから」
「もうちょっと待ってくれたらな、俺、あの絵、欲しいし」
「いいよ、周ちゃん、オフィス立ち上げたばっかで大変なんでしょ? 無理しなくていいよ。それに、周ちゃんにならあの絵あげる」
「アホなこと言わんとき。プロなんやから、あかんよ」


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