好きなのに 34

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 はっきりとした眼差しで、悠は友香を見つめた。
「お名前知ってます。大学時代の恩師の向井先生もすごく興味あるみたいでしたよ。お目にかかれて光栄です」
「……こ、ちらこそ」
 優しい微笑みをまともに受けて、悠は少し頬を紅潮させた。
「向井先生に会った?」
「うん、こっち戻ってきてすぐ」
 佐々木に問われて友香は答えた。
「周ちゃん、すごい活躍してるって聞いた。そうだ、独立、おめでとうって言ってなかったね」
「おめでたいもんか。春日さんに追い出されて、しばらく路頭に迷ってたんやで」
「またそんなこと言って。春日さん、飛ぶ鳥を落とす勢いだとか、相変わらず周ちゃんのこと、ベタボメだったよ。でも、春日さん、大決心だったよね、周ちゃんのために会社興したのに」
 コロコロ笑う友香と佐々木の会話は自然で、まるでずっと夫婦してましたというようにさえ見えた。
「え、あの会社、春日さんが佐々木さんのために作ったって、ほんとなんですか?」
 そこへ、どんな空気であろうが読まない、のほほん浩輔が口を挟んだ。
「あ、そや、西口浩輔、二年ほどいたか? 俺の下に。今は藤堂さんの会社にいてる」
「はじめまして、西口です」
「森野友香です。デザイナーさんですか? 藤堂さんの会社?」
 友香は藤堂と浩輔を交互に見た。
「ああ、藤堂さんは仕事絡みで、代理店の『プラグイン』の人。ジャスト・エージェンシーも俺もお世話になってるんや。ギャラリー『銀河』は同じビルの上にある」
「そうなんだ」
 佐々木と友香と浩輔、それに時々悠が会話に入って、ひとときそのあたりは和やかな雰囲気が流れた。
「どうかした?」


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