好きなのに 67

back  next  top  Novels


 気さくに声をかけられたものの、母親の言葉を思い出し、佐々木は少し恐縮する。
「いや、全然好きにしてくれて構いませんよ。風呂、よかったらどうぞ、温泉引いてるんで。でかい方が男、小さい方が女ってことで。男のが多いんで」
「ありがとうございます」
「ああ、朝、晩の食事だけは一応時間内にお願いします」
「わかりました」
「それから、やつら、さっきのエットーレやらモデル連中、懐いてきても突っぱねて下さい。無節操なやつらなんで」
「あ……ハハハ、了解です」
 京助は必要事項をしっかり伝えると、各々の鍋の具合を見たり、大や周りの男たちに何やら注意したりしている。
「なんかぁ、京助さんて、合宿を取り仕切る部長さん、って感じ?」
 直子の言葉があまりに言い得て妙で佐々木は思わず噴き出した。
「あの人、体育会系だからな。高校の夏とか下級生引き連れて実家に泊まらせてトレーニングとかしてたよ」
「そーんな感じ」
 直子はうんうんと頷く。
「しかし温泉やなんて、ほんまにホテル並やな、部屋も豪華やし、風呂ついてんねんで」
「ああ、それって会社の保養施設として多少手を加えたらしいよ。期間区切ってだけど希望者が多くて抽選なんだって、ただで使えるみたいだから」
「へえ、さすが太っ腹」
 それから、悠やその仲間の高津、悦子らもかわるがわる佐々木のところへご機嫌伺いにやってきた。
「佐々木先生、すげえんだ、ラピコフとかイェルツェンとか、多田三郎とか原夏緒とか」
「そうなんです、こう、無造作にその辺に絵が飾ってあるんですよ、すんげぇ絵が」
 ちょっと興奮気味に言う悠の言葉を、高津が噛み砕いて説明する。
「へえ、それはすごいね」


back  next  top  Novels


にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ

ようこそ、お立ち寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です。