好きなのに 71

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 酔っ払っていない、足元が確かな者が、京助や大を手伝って鍋や散らかった食器を集めてキッチンへと運ぶ。
 これまた中央に調理スペースのあるアイランド型のかなり大きなキッチンで、大型のオーブンが二台組み込まれ、IHとガスの両方を利用しているらしい。
 研二や千雪、良太に混じって食器を片付けるのを佐々木も手伝ったが、これだけの人数でやると案外早く片付いてしまう。
 リビングに戻るとテーブルなどもすっかり片付いていた。
「佐々木さん、温泉、いいですよ、行きますか?」
 部屋に上がると藤堂が誘った。
「ええな、行きますか」
 風呂は引いた温泉をわかしているらしい。
 二人で一緒に風呂へと向かうと、檜の香りがいい気分にさせてくれる。
「うー、ほんまに極楽やな」
 藤堂と一緒に湯に浸かりながら、年より臭く佐々木が呟いた。
「全く。時々こんな贅沢できればいいんだけどねぇ」
「藤堂さん、今回はゆっくりできるんですか?」
「残念ながら仕事持参でね。浩輔ちゃんがこのスキー合宿の話持って来た時、たまたま芸術家さんたちがいて、我も我もってことになっちゃったんで、俺はそのお守りですよ」
 佐々木は笑った。
「芸術家さんたち、思わぬ美術品に出くわしてえろ、喜んでましたよ」
「ああ、そうそう、確かに。原夏緒の作品は滅多に表に出てこないので、今年の春に開催予定の展覧会には、結構いろんな収集家に協力を頼んだみたいですよ」
 佐々木はなるほど、と頷いた。
「展覧会、楽しみやな。ここにある作品は小夜子さんとか小林先生経由で?」
「いやそれが、京助さんのご親戚の方がお持ちになっていたものを、紫紀さんと小夜子さんの結婚祝いに贈られたものだそうですよ」
「あ、そうか」


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