好きなのに 8

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通りがかりに傍らの丸テーブルに触れたはずみに、乗っかっていた沢村のタブレットの画面が表示された。見るともなく見た画面は関西タイガースのページで、スケジュールのようだ。
「………宮崎……?」
その時初めて、キャンプがいつからでどこなのかということも知らないでいたことに気づいた。
「宮崎って、九州の宮崎やないか?」
はたと画面に出ている時刻を確認する。
「これから宮崎に行くつもりか? あいつ………」
沢村が選手だということを知っているはずが、プロ野球に対してあまりに疎過ぎる自分にも呆れた。
「あっためたから食べられないことないだろ?」
カラスの行水でシャワーを浴びて出て来た沢村は、腕組みをして自分を睨んでいる佐々木の目に出くわして少したじろぐ。
「何で言わんかった? まさか宮崎これから向かうつもりやったんか?」
沢村はタブレットを開きっぱなしにしていたことに気づいて、しまったという顔で苦笑した。
夕べは次はどこで会おうなんて考えながら、スケジュールを確認していたのだ。
「ああ、そう、充分間に合うって。ほら、また冷めないうちに食おうよ」
時間がないことはわかっているので、佐々木も仕方なく沢村の向かいに座って食べ始める。
「で? 羽田、何時の便?」
「あ、ああ、八時だから余裕だって」
「軽井沢を何時や?」
「五時二十四分」


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