ミュンヘンへ行こう ーハンスー 20

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 リムジンのドアを開けて立っていたのは、いつぞや、ロジァをヘリコプターで運んだことのあるゲミンゲンだった。
 その顔を見てロジァはニヤリと笑う。
「よう、あんときのおっさんじゃねーか」
 ゲミンゲンの方も三年前、ヘリコプターでニューヨークまで送らせたロジァのことを覚えていた。
 車に乗り込もうとしたロジァをハンスはもう一度振り返らせる。
「しかし、アレクセイが心配してたぞ。もう少し待ってから…」
 その時ハンスはロジァの目が明かりに映えて輝くのを見た。
「いいってっだろ? ガキじゃねんだ。やつに言っとけよ。あばよ、邪魔したな」
 車は屋敷を出ていった。
 ハンスはそれを見送ってから、明かりに輝いたロジァの瞳が何やら気になった。
 気になったのはその色だった。
 素晴らしい緑色だった。
「まさかな…」
 エントランスにしばし突っ立っていたハンスだが、急に寒さを感じて慌てて屋内へ戻って行った。
 


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