ミュンヘンへ行こう ーハンスー 7

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 アレクセイは、彼とブリュンヒルデが結婚した時は心から喜んでくれたし、祝福してくれた。
 アレクセイにとってはハンスはやはり友人であったから。
 だが、ハンスの中にアレクセイへの激しい思いがあることを、彼女は知っていた。
 そしてそれが結婚して三年、未だに消えないと知った時、離婚を申し出たのだ。
 ハンスは受諾した。
 子供たちとはいつでも会えるし、成長すれば互いの家を行き来するようになるだろう。
 例え彼女が他の誰かと再婚してもそれは同じだと彼女は言った。
 だからといって、アレクセイを恨む権利はハンスには無い。
 アレクセイへの愛は消えなくても、自分の会社にとって、家にとって、結婚は必要だとハンスは思っていたからだ。
 だからアレクセイに自分の愛を告白したこともない。
 ジョーク混じりに愛してると言っても、彼に本心を悟られないようにしていたのだ。
 自分にはブリュンヒルデにもう何も言う資格はないと、ハンスは自覚した。
 再びシングルに戻った今、アレクセイへの愛を再確認しただけである。
 ともあれ彼に誰かがいる、とハンスが感じたのは三年前、アレクセイがレースで優勝した時のことだ。
 それから時折顔を合わせることはあったが、アレクセイは新しい恋人のことなどおくびにも出さない。
 相変わらず彼の回りにはいろんな噂が取り巻いていたが、噂程彼は遊んではいないだろう。
 無論、自分が本命でなくても仕方がない、しかし、十年来の友人としては、あまりにつれないではないか、それがハンスがそんなゲームを思いついた理由だった。
 


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