春の夢 100

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    エピローグ
 
 
 傷は完治してはいないが、ロジァは数日後、ボックスに出てきた。
「ボスの味気ない命令がようやく聞けますか」
 アレクセイは、開口一番、揶揄した。
 ロジァはアレクセイをチラッと見ただけで、何も答えずに自分のデスクについた。
 本当は、いつものごとく無表情を作ってボックスに足を踏み入れるはずだったが、いきなりアレクセイが立っていて、ロジァは始めから動揺を隠せなかった。
 慌ててデスクについたものの、皆に言うべき言葉がどこかにいってしまった。
「ちょっと怪我したので…長いこと仕事を休んで済みませんでした」
 やっとそれだけ言った。
「大丈夫なんですか?」
「面倒なことは私たち、やりますから、何でも言ってください」
 ミレイユやマイケルらに口々に言われて、ロジァはふいに、彼らのそんな気遣いを素直に嬉しく思っている自分に気付いた。
 少しばかり頬を紅潮させたのを隠すのに必死になった。
 彼らは、ロジァが怪我をしたとだけしか聞かされていなかった。
 ケンはアレクセイが彼らに何も言わずに飛び出して行った後、気になって、ティムに確かめた。
 するとティムは、何でもありません、とすっとぼけた。


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