春の夢 105

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 ロジァはむっつりしたままグラスを口に持っていく。
「おとなしいな? 俺にどうやって愛の告白しようかって考えてるとか?」
 一気にワインがロジァの身体全体を巡り、頭の天辺まで赤くした。
「てめーは、そうやって一生自惚れてるがいいぜ!!」
 だが、アレクセイはロジァの言葉を聞かない振りをする。
「そうだ、さっきの追加、俺は名コックだから、いつでも美味いもん食わしてやれるぞ」
 確かにボルシチは美味い。
ワインもまた。
 人間なんて情けねーよな、こんな時にも食うことは忘れやしない。
 俺なんか、軍だろうが東側だろうが、掴まったら、どんな拷問がつらいって、メシ抜かされるって言われたら、何でもしゃべるし、やりそうだ。
 ロジァは思う。
「美味いだろ?」
 アレクセイが聞いた。
「うめーよ…」
 ロジァは答えた。
「素直じゃないか」
 アレクセイは笑う。
 ロジァはアレクセイを睨む。
「レース、見にきてくれたんだろ?」


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