春の夢 106

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 ふいに言われてロジァは、言葉を探す。
「…あれは、ケンが無理遣り連れてっただけだ」
「そうか…」
 アレクセイは後片付けを始めたが、
「シャワー、一人で浴びられるか? 俺が手伝ってやろうか?」
 とロジァに聞いた。
「一人で浴びられらあ!! んなもん!!」
 ロジァはつい、そう言ってしまってから、はたと思う。
 これじゃ、まるで泊まっていくと言ったようなものじゃないか。
 しかし、バスタオルを放られて、ロジァは言うべき科白が無い。
 ロジァがシャワーを浴びて出てくるのを待っていたように、アレクセイは、黙ってロジァの腕の包帯を取り替えた。
「無茶すんなよ…」
 ボツリとアレクセイは言った。
 俺が、Dr.Cって分かったから? それで優しくするわけ?
 ロジァは出かかった言葉を飲み込んだ。
 ヒューのことを知った時、何だ、って思った。
 こいつもかって。
 せっかくいい奴だと思ったのに。


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