春の夢 11

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 そう言って笑うこの美しい科学者に、ハンスは時折底知れぬ恐ろしさを感じるのである。
 それからハンスが、どうやらアレクセイの見せた設計図に夢中になっているようだったので、アレクセイはハンスにいきなりキスしてやった。
「ウ……何だ?」
「俺を放って設計図に夢中になっているからさ」
 ハンスは笑い、今度はアレクセイを抱き締めてゆっくりキスした。
「ベッドに行こうぜ」
 アレクセイの目が怪しい光を帯びている。
「どうしたんだ? お前、急に色情狂になったのか? そりゃ、俺は嬉しいけどな」
 二人は戯れ合いながらシーツに潜り込む。
いつになく切なげに求めてくるアレクセイに、口ではジョークを飛ばしながら、ハンスは心の中で問いかける。
 もういい加減、ブルースのことは忘れたよな?
 設計図なんかより、ずっと前からお前に夢中なんだ。
 アレクセイとのラブアフェアのあとでは、いつも天国から地上に逆戻りしたような思いをする。
 このまま俺のものになってくれよ
 ハンスの家庭環境、仕事、それを考えると、いずれは結婚しなくてはならない。
 今時男とだってしようと思えば結婚くらいできるだろうが、残念ながら子孫はできない。
 だがそれは、アレクセイに告白して「NO」と言われるのが恐いだけの言い訳だと、ハンスは知っている。


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