春の夢 13

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 いずれにしろ、陽気だけがモットーのハンスは、ちょっと生真面目そうだが、案外明るくきれいなケンが結構気に入った。
 アレクセイがビスクドールの美しさなら、このケンという青年は、いつぞや東京で見た雛人形の怪しげな美しさを持っている。
 ドイツにきた時はぜひ会おう、と言い残し、アレクセイから借りたエンジンのデータを大切そうに持ってハンスはミュンヘンに帰って行った。
 
 
 
 
 ここのところずっとアレクセイはロジァとは仕事以外で会ってはいなかった。
 数日前、ふざけて局内でロジァの耳元に囁いた。
「しばらく誘ってないし、身体がなまってるだろ?」
 局内ではポーカーフェイスを装っているロジァも、時々アレクセイにだけは地で応対する。
「俺は忙しいんだ! てめぇみてーな色キチにかまってる暇はねーんだ!」
 声は押さえているが、相変わらず表面からは想像がつかないこの切り返しに、アレクセイはやはり、と思う。
俺が余計なお節介をやかなくても、ロジァにはロジァの世界があるのだ、と。
 ロジァから連絡してきたことなど一度もない。
いつもアレクセイの方からだ。
少しはリコの死からも立直っただろうし、自分がいなくても、やはり大事な仲間のポールや他の連中と楽しくやっているのだろうし。
 クスリだけはやるなとアレクセイは釘をさした。
 無論ロジァはバカではないが、ポールも彼を心配していた。


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