春の夢 14

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 リコは生前本当はクスリが嫌いだったのだとポールもロジァにしょっちゅう言っている。
 そのリコがクスリに手を出したくなるほど、あの時はいろいろきつかったのだろうと。
 リコが、どうしようもなく冷えきっているロジァの心を思い、アレクセイにロジァを託そうとしたように、ロジァの魂が一番住みやすい場所に置いてやるのがいいのだ。
 それが俺でないとしても。
 そう考えてから、アレクセイは少し胸が痛くなった。
 
 
 
 
「久しぶりにボスのお出ましか」
 看板も壊れかけた、バー『ヘル・ストリート』の階段を降りていくと、ポールが彼を見付けてニヤニヤしながら声をかけた。
ロジァは返事もせずに、黙ってカウンターに座った。
ポールはバドワイザーの缶を彼の目の前に置き、その横に座った。
「今夜はあの色男とは一緒じゃねぇのか?」
 からかうようにポールは言った。
「ウッゼえんだよ、黙ってろ!」
 ロジァは缶のプルトップを外すと、一気に半分以上空けた。
「ご機嫌ななめだな、もう、振られたのか?」
 ロジァはポールをジロリと睨む。
「おっと、こえー、こえー…」
 ポールは笑いながらロジァの傍を離れた。
 振られるも振られないも、俺達はそんなんじゃねーんだ!


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