春の夢 16

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 あれから、リコが死んでからってもの、あのクソヤローは、何かというと俺に付きまといやがって!!
 今度はにやけた顔でこそっと声をかけてきたアレクセイを思い浮かべて舌打ちする。
 あの時、ここで飲んで騒いでた時も、店まで現れやがるし。ポールのやつ、俺が暴れてたもんだから、あのヤローに俺を押しつけやがった―――。
 
 
「あんのヤロー!! 人を厄介払いしやがって!」
 アレクセイの車のサイドシートに押し込められながら、ロジァは喚いた。
「おう、そりゃ、厄介だったろうさ!」
 車が走りだすと、再び酔いが回り始める。
「てめ、何しにきやがった!!」
「そりゃ、お前を探しにさ。決まってるだろ? あちこち迷惑かけて、しょうもないおぼっちゃんだ。昨日の朝は家とは逆の方向から現われただろ? ティムに聞いても教えてくれないしな」
「俺が何、迷惑かけてる! 頼みもしねーのに、貴様がしゃしゃり出てくるこたないんだ!! セレブがこんなゴミ溜めうろついてて何の得にもならねぇぜ」
 ロジァは酔った勢いで大きな声で喚いている。
 するとアレクセイは笑いながら言った。
「追い回してただけじゃ、何の得にもならないさ」
 ロジァは口を噤んだ。
「ただで、お前をお迎えにいってやるほどヒマじゃないよ」
 アレクセイはハンドルを切ると、彼のアパートメントの駐車場に車を滑り込ませた。
「さあ、降りろよ。着いたぜ」
 動こうとしないロジァにアレクセイは促した。
「たいした悪党だぜ、てめぇはよ」
「まあな、ストリートのボスを相手にするんなら、かなりの悪党じゃないとな」
 笑いながらロジァの肩に腕を回すその余裕もロジァは気にくわない。


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