春の夢 20

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 アレクセイがロジァを誘わなくなって一ヵ月が経っていた。
 気に入っているバンドが演奏を続けていたが、ロジァは『ヘル・ストリート』を出た。
 すると、そのあとをポールが追いかけてきた。
「帰るのか?」
「ああ…」
「そのうちまた顔見せろよ。ボスがこなけりゃ話になんねー」
「ああ」
 ボスなんていっても、俺なんかそうやって祭り上げてるだけのくせにヨ…
 ロジァはバイクのエンジンを唸らせる。
 コマンドもそうだ。
 俺を局に縛り付けときたいために、あのクソオヤジ!!
 居場所が、なくなった。
 リコのやつが、勝手に死んじまいやがって、結局…また…
 どこに行けばいいんだよ、俺ぁ……
 
 
 
 
 ハンスが帰ってしまうと、急に淋しくなったアレクセイは、ケンを夕食に呼んだ。
 ケンもハンスが気に入ったらしく、面白い男だな、退屈しない、そう言ってから、アレクセイに尋ねた。
「そういえば、あいつ、仕事は、車造ってるって言ってたけど、技術屋か?」
「あいつはそんな面倒な仕事には向かないな、造っているっていったって、親の会社が車会社だってだけだ。G社だよ。名前くらい知ってるだろ?」
「G……って、まさか、あの、ドイツの、あれか? どおりで自分のジェットとか言ってるわけだ」
「ゴルトベルガーって名乗っただろ?」


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