春の夢 21

back  next  top  Novels


 ケンは頭を振りながら、ふうと一つ息をつく。
「お前の友達だってことを忘れてたよ。全く……」
「何言ってる。そういえばハンスのやつ、随分お前のこと気に入ったみたいだったな」
 そう呟いてから、ふとアレクセイはケンに聞いた。
「お前さ、女以外の経験、あるか?」
 ケンはアレクセイを見つめる。
「いきなり何聞くんだ! あるわけないだろ? お前じゃあるまいし」
「いや、ハンスのやつ、気軽にベッドも誘うからな。経験ないんなら教えといてやろうか?」
 みるみるケンは真っ赤になる。
「ジョークも大概にしろ! お前が言うと、嘘でもドキッとする!」
「ジョークじゃないさ」
 アレクセイは笑う。
 するとケンは、急に真面目な顔になった。
「アレクセイ、お前な、そうやってロジァも誘ったのか? いい加減にしとけよな。言っとくが、お前にそんなこと言われたら、そのケがない奴でも、ついフラってなっちまうんだ。ロジァはまだガキで、しかもだ、局長の息子だぜ。知れたらクビが飛ぶかもしれないぜ」
「なるほどな、俺のクビが飛んだら、お前も淋しくなるだろうし」
「そりゃ、淋しくなる……」
 言いかけてケンは言葉を切る。
「何を言わせるんだ!バカッ」
「いや、お前はガキじゃなくて、局長の息子でもないしな。本当は俺に惚れてるから、ロジァのことにやけにこだわるとか?」
「そうやって誰かれかまわず誘うから問題なんだよ、お前は」
 ケンはアレクセイを睨み付けた。
「おいおい、そりゃ誤解だ。俺は滅多に自分からは誘わないんだぜ」


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ